雨漏りの発生原因は屋根・天井からと考える傾向にありますが、実際には壁(防水)の施工ミスからの発生が全体の7割の割合を占めているデータがあります。この数値は年々増加傾向にあり、外壁周りにおける防水施工ミスは死活問題となっております。外壁からの漏水原因は、「外装材の裏に雨水が入りこむ」不具合が主な要因となりますが、これらの雨水は一体どこから侵入したのでしょうか。これまでの雨漏り発生事例では、サッシ枠周辺からの漏水が一番多く確認できました。1次防水となる、外装材を剥がしてみると、透湿防水シートにしわや浮きが確認できました。サッシの側面には黒く変色した部分もあれば、防水シートの表面も黒ずんでいるのも確認出来ました。また、サッシのフィンと透湿防水シートをつなぐ両面防水テープにも、変色や浮きしわが生じていると、雨水の滞留により雨水が入りこみます。また、外壁周辺からの雨漏りで、「危険部位」とされているのは外壁とバルコニー手摺り壁の取り合い部分です。外壁部分との取り合いの不具合があると、外装材の裏に雨水が滞留し、内部の下地材が腐食していきます。これらの雨漏りは、目視で原因を特定することが困難で、外装材を撤去しなければなりません。壁を開けてみなければ、内部腐食がどれだけ進行しているのかが確認できないのは不安になります。いずれにせよ、このような状態まで劣化が進んていれば、補修の費用は高額になることは避けられません。
補足ですが、新築後10年間は、「住宅性能保証」の保証期間なので、業者過失の不具合などは住宅会社の無償保証で対応をしてくれる免責範囲となりますのでご安心ください。
外壁周辺からの雨漏り
外壁通気工法の構造とは、単純に外装材のサイディングを柱や梁、構造用合板から離す工法です。木造住宅は常に水分にさらされておりますので、通気の確保は必要不可欠です。例えば、降雨時に風が吹けば、外装材の隙間から雨水が内部に侵入してしまいます。外装材の裏に回った雨水は、サッシ枠や付帯部材などに滞留します。通気層など、排出溝がなければ屋内の湿度は屋外よりも高くなり、水分が壁内へ侵入します。通気層の役割は、屋外から押し寄せる水分から木造住宅の躯体となる木部を腐食から守るためです。通気を確保することで、雨水が侵入しても乾燥状態を保つことができるので腐食の進行を抑制する可能性は高まります。通気層は雨水の排出経路となりますが、外壁通気工法は二次防水層となる外装材の裏側にある、1次防水の透湿防水シートの層を設け、胴縁で外装材を躯体から離す必要があります。補足ですが、通気層と結露は大きな関係があります。通気層のない家屋は冬場に暖房器具を使用すると、暖房器具から発生する湿気で結露が発生します。出窓などがある家屋では、真冬の時期に窓回りのサッシ枠周辺が濡れているのをよく見ますが、窓の換気をこまめにしても、換気扇を設置しても、あまり効果がえられないようです。この状態を長期間放置しておくと、周辺の基材から腐食の進行が進みます。このように、構造上の問題は家屋の劣化の進行を早めることとなりますので、目視でも不具合を確認したり、外装材のサイディングと水切りに通気層(隙間)がない作りの建物は、専門業者に相談することをお勧め致します。
直貼り診断
シーリング測定
雨漏り資料散水調査KD-⑦
雨漏りは、経年劣化に限らず、新築戸建住宅でも関係なく発生します。これまでの雨漏りのトラブル事例では、降水量に比例して雨漏りが発生する確率が高くなるようです。今回の雨漏り事例では、「外壁と軒の取り合いからの雨漏り」をご紹介致します。
お施主様から頂いた相談は、雨が降ると1階部分のサッシの下枠から雨水が漏れてきたとの内容でした。家屋の構造、築年数、これまでの補修歴なども事前にお伺いして、現地訪問調査を行いましたが、雨漏りの原因は、単なるサッシ枠の不具合とは考えません。なぜなら、雨漏りが発生する原因は目視や経験で特定できるほど簡単なものではないからです。散水調査を行わず、知識と経験値を活かして補修工事を行い、雨漏りが止まる場合もあるかもしれませんが、漏水個所の原因を突き止めたわけではありませんので、再び雨漏りが再発する可能性もあります。
実際、雨漏り110番にご相談を頂く方の多くは、何度も補修工事をしても雨漏りが再発して困っている方ばかりです。今回の事例では、お施主様の立ち合いのもと、実際に散水調査を行い、複数の漏水個所を再現致しました。結果はこれまで全く気にしていなかった「外壁と軒の取り合い部分」からの漏水を目視で確認して頂きました。雨水が侵入した考えられ原因は、豪雨などの自然災害時に雨水が強風で巻き上げられ、軒天と外壁上端にある隙間から雨水が侵入し、防水紙や防水テープのすき間などから、雨水が防水層の内側に入り、室内に漏水したと考えられます。侵入した雨水は、合板を打ち付けた釘を伝って壁に染み込んだり、壁内を伝わって雨水が土台に到達し、壁内に侵入した雨水が染み出したのが、雨漏りの原因でした。
結論からして、サッシ枠からの雨漏りではありませんでしたので、サッシ枠やその周辺をいくら補修しても雨漏りが止まることはありません。これまでの補修歴を伺うと、サッシ枠の周りをシーリング補修したり、窓枠や周辺の補修を行い、多額の費用を支払ったようです。補足ですが、雨漏りは複数個所からの漏水や補修後の経年劣化による雨漏り発生なども、常に視野に入れてお施主様にお伝えすることも専門家の我々の役割と考えております。
雨漏りのご相談を沢山頂くのは、決まって自台風や豪雨などの自然災害が発生した後に集中します。相談内容は明確で、「台風の時だけ雨漏りが発生する」、「雨が長く降り続けると雨漏りする」などのお問い合わせ内容です。雨漏りに関するご相談を頂く件数は、年々増加する一方ですが、相談内容や実際に現地調査での統計をデータでまとめてみると、築年数による経年劣化が原因というよりも、業者の施工ミスや防水処理の不具合、雨仕舞の問題などが雨漏り発生原因の要因となるケースが目立ちます。また、デザイン性高い建物、増改築、違法建築など、構造上の問題が雨漏りを誘発する決め手となるのは全体の8割を占めております。その中でも、比較的雨漏り発生原因の割合として高いのが外壁からの雨漏りです。外壁からの雨漏り発生はモルタル壁のひび割れや、サイディングボードのシーリングの劣化、開口部分の不具合などが大きな要因として考えられます。外壁がモルタルの場合は、単純にひび割れや付帯部部のとの接合部の隙間、電気配線の貫通部分などが、雨漏りの原因となりますが、これらの不具合は、目視でも確認できる場合と、そうでない場合もあります。サイディングに関しては、ボードの割れやシーリングの劣化などで隙間が生じます。この隙間の部分から雨が侵入しやすいので、サイディング壁の場合はシーリングの劣化、サイディングの割れなどがないかを目視でも確認します。但し、目視判断では実際に何処の個所が不具合で雨漏りが発生しているのかは特定することができません。雨漏り調査専門の業者が行う雨漏り診断調査は、雨の侵入箇所を突き止めるために、雨が入りそうな場所を水道水の水をしばらくかけて雨漏りを再現する方法で原因を追究します。これが散水調査といわれる人工的に雨漏りを再現して起こし原因を突き止める方法です。これまでの統計データを参考にしても答えは明確で、雨漏りは必ずしも雨漏りがした場所の近くから漏水しているのではなく、遠くの場所で漏水したものが、内部の柱や梁を伝わって全く違う場所に雨漏りとなって現れることも良くあります。ですから、雨漏りの発生原因の経路を正確に突き止める為には、複数の個所を散水調査で調べる必要がありますし、見当違いの場所でも、漏水を起こしそうな疑わし場所は広範囲にホースで水を勢いよくかけて調査をする必要があります。散水調査ができない立地条件や建物などは、サーモグラフィー(赤外線)調査などで漏水個所の原因を突き止めることができます。外壁からの雨漏り発生原因を追究するには、雨漏り診断調査の実績が豊富な専門業者にお願いすることをお勧め致します。
雨漏り診断調査依頼は「雨漏り110番」にお任せ下さい
屋根と軒まわりの納まりは雨漏り対策として十分注意しなければなりません。屋根の二次防水となるアスファルトルーフィングなど屋根の下ぶき材は、軒先側から棟に向けて張るのが基本です。軒先では、軒の水切り板金の上に下ぶき材を重ねます。流れ方向にしっかり張り重ねる際には、下ぶき材が上に重ねるようにして、100mm以上の重ね代をとります。横方向の重ね代は、200mm以上とります。下ぶき材を留め付けるタッカーは、屋根の仕上げ材を取り付ける仮留めとして、下ぶき材の重ね代で300mm程度の間隔で打ちます。それ以外の要所では、900程度の間隔が基本的な打ち込みの目安となります。アスファルトルーフィングなどの下ぶき材には一定のシール性能を見込めますが、タッカーを必要以上に多く打つと雨水の侵入により、雨漏りの発生する原因となりますので注意が必要です。その他、棟部や谷部では、雨漏り対策として、増し張りも有効的です。外壁との取り合い部分に関しても同様に、屋根の下ぶき材を外壁面まで連続して250mm以上立ち上げます。防水紙を下ぶき材の立ち上がりや取り合い板金の外側に重ねる納まりが基本となります。その際には、屋根と外壁の防水層の3面交点にピンホールが生じやすいので、増し張りや防水テープなどの補強を欠かさないようにして雨漏り対策をしましょう。
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近年の戸建住宅は、デザイン性を重視した建物が多く見受けられます。住宅保証機構がまとめた保証事故の統計から、これまでの雨漏りの件数を拾い出して雨水の侵入個所を「屋根」と外壁や開口部といった「外壁側面」と分けて整理した結果、2007年以降は、屋根からの雨漏りよりも、外壁側面からの雨漏りの方が5倍近く増えていることが確認されています。外壁からの雨漏りの主な原因としては、外壁のひび割れ、開口部、配管や配線などの貫通部分、バルコニーなどが漏水原因となります。住宅側面に該当する部位での雨漏りトラブルの背景にはいくつかの理由があるようです。代表的な理由の一つとして、軒の出の長さや屋根の形状の違いによる雨掛かりが、雨漏り発生のリスクを高めているようです。特に軒の出が少ない家屋は、外壁側面の雨掛り量が多くなります。軒の出幅に関しては、60〜90cmが理想的な出幅となりますが、最近の建売り戸建住宅の軒の出幅は、15cmという家屋もよく見かけます。軒の出の長さだけでなく、屋根の形状や勾配の違いでも、雨掛りの多い個所や範囲は変わります。要するに、デザイン性の高い住宅は複雑な構成の屋根や下屋を設ける一方で、軒や庇を十分に確保しない住宅が雨漏りトラブルに関係してくるということです。外観を重視するあまりに、雨仕舞への配虚や防水施工の品質確保が十分でない場合は、後に雨水が侵入して雨漏りが発生します。これらのトラブルを回避するためにも、設計から施工を通じて、雨仕舞や施工の不具合などを未然に回避する警戒が必要です。
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雨漏りが発生する原因は、決して1種類や2種類に集約することは出来ません。なぜなら、現代家屋における雨漏り原因は、様々なものが考えられるからです。一見雨漏りと思えても、実は雨水してによる雨漏りが原因ではなく、結露や漏水、エアコンのドレンホースからの水漏れなども考えられるのです。実際に雨漏りが
起きやすい箇所としては「屋根」「窓周り」「壁」「屋根と壁の接合部分」「ベランダ」等が原因として考えられますが、当然これら以外の箇所からも雨漏り箇所の原因であることもあります。
また、建築部材の経年劣化ばかりではなく、近年では、屋根の上への太陽光発電パネル発電の設置時に工事の雨漏り防止の処理が甘く、結果として、建築後間もない家なのに雨漏りの被害に遭われるというケースもあり、これが現在太陽光パネル設置業者が増える一方でも、雨漏りを誘発する原因と重大な社会問題になっていおります。これらの太陽光発電パネル設置後の雨漏りを防ぐために、施工マニュアルを作成して、雨漏りの発生原因となるビスの空打ちや、シーリング処理の施工方法などを研修する会社もあれば、屋根に穴を開けないで設置をする独自の方法で取り付ける会社もあります。これらの雨漏りが発生する原因は、構造上の問題は勿論だけでないことが証明されます。但し、雨漏りの原因究明は、素人ができるものではありません。正確な原因究明にも、そして対策や補修をするにも、雨漏り専門の知識が必要です。
では、雨漏りが発覚した場合、原因をどうやって探したらいいのか、それは、雨漏りの診断や原因究明、雨漏り対策を専門とした「雨漏り診断士」に任せるのが一番解決に近つ˝きます。
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